華麗なる偽装結婚


明日プロポーズすると思うと、気持ちが楽になった。

もう隠す必要も演じる必要もない。

後は本物のエンゲージリングを用意するだけ。


「……つけてあげる。おいで」


携帯ストラップに苦戦している彼女をソファから呼ぶ。

彼女はおずおずと俺の隣に遠慮がちに腰掛けた。


グイッ。


彼女を俺の身体にもたれかけさせる。

「!!!」


パッと離れる。

グイッ。

また抱き寄せる。

パッと離れる。



「…阿美子ちゃん、何?
嫌なの」

チロッと睨む。

「え?え?あの…、そんな」


「いいから」

またグイッと抱き寄せる。

今度は阿美子はそこに収まった。






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