華麗なる偽装結婚
慌てて携帯を取り出しある番号へとダイヤルする。
『……もしもし。……怜?
何だよお前〜、こんな時間に。
あ、…今、海外だろ。
日本は今、明け方だぜ。
急ぎじゃないならかけ直せよ』
「待て!切るな!
海外じゃない。家だよ。
一つ教えてくれ。
営業四課の佐々木 達郎の電話番号を」
『はあ?…佐々木?
何でまた』
「訳は後だ。急いでるから」
『全く…。相変わらず意味不明な奴だな。
………ちょっと待ってろ』
……彼は佐倉物産、人事部長の
吉良 耕平。
大学時代からの友人だ。
佐々木に聞けば彼女の居場所が分かるだろう。
俺が電話してもきっと出ない。