華麗なる偽装結婚

…………。

「……分かりました。
『真理ちゃん』には花キューピットを手配致します。
赤い薔薇、でしたよね?

他には何かございますか」

「うーん。そうだな。
あ、カード付けておいてね。
文面は阿美子ちゃんに任せる」

「かしこまりました」

「あ、それと来週のじいさんの誕生パーティーの事は真理ちゃんには言わないでね。

俺、彼女を伴うつもりないから」

「かしこまりました。

…あ、それで午後の予定ですが……、
その後で、」

「あ、もう、いいや。
聞いても覚えられないし。
阿美子ちゃんが分かってれば」

「………はい。
では、失礼致します。
資料だけ、見ておいて下さい。

それと、…これは、決裁書でございます。
よろしければ判をついて私に渡して下さいませ」

バサリと社長のデスクに書類の束を乗せる。

「ええ!?こんなに!?
阿美子ちゃん、やってよ」

「駄目です。
社長が!ご自身で!判断なさり判をお願い致します」

「…はぁい」

社長は力ない返事をしてションボリと俯いた。







< 3 / 252 >

この作品をシェア

pagetop