華麗なる偽装結婚
…………。
「……分かりました。
『真理ちゃん』には花キューピットを手配致します。
赤い薔薇、でしたよね?
他には何かございますか」
「うーん。そうだな。
あ、カード付けておいてね。
文面は阿美子ちゃんに任せる」
「かしこまりました」
「あ、それと来週のじいさんの誕生パーティーの事は真理ちゃんには言わないでね。
俺、彼女を伴うつもりないから」
「かしこまりました。
…あ、それで午後の予定ですが……、
その後で、」
「あ、もう、いいや。
聞いても覚えられないし。
阿美子ちゃんが分かってれば」
「………はい。
では、失礼致します。
資料だけ、見ておいて下さい。
それと、…これは、決裁書でございます。
よろしければ判をついて私に渡して下さいませ」
バサリと社長のデスクに書類の束を乗せる。
「ええ!?こんなに!?
阿美子ちゃん、やってよ」
「駄目です。
社長が!ご自身で!判断なさり判をお願い致します」
「…はぁい」
社長は力ない返事をしてションボリと俯いた。