華麗なる偽装結婚
その後パタン、と静かに社長室のドアが閉まった。
私は閉じられたドアを見ながらボンヤリしていた。
キス……しちゃった。
う、…うわわわ…。
今更ながらに恥ずかしさが込み上げる。
ど、どうしよ。
しかも…、『特別』って。
私の事を『特別』だって。
私がいないと……生きてはいけない?
そ、……それって。
…きゃあああ。
赤い頬を両手で押さえながらも一瞬、冷静に考える。
だけど―――分かっているわ。
それが、愛情からくるものではないと。