華麗なる偽装結婚


「…全く。相変わらずやる気が無いんだから。
………最悪」

ボソッと呟きながら、パソコンの社長宛のメールを確認し始める。

………。
半分が女性からだわ。
公用のアドレスを教えるなっちゅうの。

呆れながらも社長の自宅パソコンにそれらを転送していく。

―――佐倉 怜。
二十六歳。
独身。彼女はいない。
だが、不特定多数の特別なオトモダチ有り。

普段はチャラチャラしているけど、実は仕事はデキル。

社員数、数千名を抱える佐倉物産の代表取締役社長。

一流大学の法経部をトップで卒業し、彼が社長に就任してから会社は更に事業の幅を着実に伸ばし続けている。


そのはず―――なのに。

………何でいつもそんなにダラダラといい加減なの……!?

私の目の前で毎日、適当に過ごすこの人が、本当に佐倉社長なのか、

秘書に就いて半年経った今でもまだ信じられない。





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