華麗なる偽装結婚

あんな子供だましの様な。
一瞬、たまたま触れただけの、
キスとも言えないささやかな事で。


………大体、あり得ないじゃないか。
色気も何もない、真面目な女に。

俺が動揺する理由もない。

彼女も、佐々木の前では分厚い眼鏡を外し、別人の様なメイクを施しているが、俺の前では、髪の毛一本たりとも垂らした事はない。


完全に俺は興味の対象から外れているのだ。

俺と彼女がほんの少しでも、惹かれ合う理由がない。



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