華麗なる偽装結婚
俺はそう言って彼女の唇を再び優しく塞いだ。
「………ん!…」
苦しげに甘い吐息が彼女の口から零れ落ちる。
それを聞いて彼女の後頭部を優しくそっと押さえると、その小さな唇をこじ開けさらに強く舌を絡ませていく。
「………んン……っ」
そっと目を開けて彼女を見る。
とろりとした表情で瞳を閉じて俺に全てを預けるような彼女を見ながら……
ふと思う。
……ヤバイな……。
けっこう、いい女だ。
俺の…タイプかも知れない。
長い間共に過ごして来たのに今になって初めてそう思うなんて。
偽装結婚を申し込んだ直後なのに。
阿美子ちゃんも、本気ではないからこそ、それを承諾したんだ。
終わると分かっているからこそ。