華麗なる偽装結婚


「…ああ。驚かせて悪いな。
大切なものは隠しておきたい主義でね。
だけど今度のじいさんのパーティーではさすがに紹介しないといけないから、こうして連れて歩く気になったんだよ」

「……そうか。
だけど、秘書とは。
兄さんにしてはずいぶん身近な女性を選んだんだね。

………あ、失礼。
別にあなたがどうとかいう意味ではありませんよ」

そう言って陸は阿美子を上目遣いで見遣るとクスッと笑った。


………あらかたどうせ、たいした女じゃないとバカにでもしているんだろう。

確かに彼女は地味で人目につく感じではないけど、少し磨けば陸も度肝を抜くはずだ。

女を見る目のないヤツだ。





< 88 / 252 >

この作品をシェア

pagetop