華麗なる偽装結婚
「…ああ。驚かせて悪いな。
大切なものは隠しておきたい主義でね。
だけど今度のじいさんのパーティーではさすがに紹介しないといけないから、こうして連れて歩く気になったんだよ」
「……そうか。
だけど、秘書とは。
兄さんにしてはずいぶん身近な女性を選んだんだね。
………あ、失礼。
別にあなたがどうとかいう意味ではありませんよ」
そう言って陸は阿美子を上目遣いで見遣るとクスッと笑った。
………あらかたどうせ、たいした女じゃないとバカにでもしているんだろう。
確かに彼女は地味で人目につく感じではないけど、少し磨けば陸も度肝を抜くはずだ。
女を見る目のないヤツだ。