か弱い執事のご主人様
放課後。
………来ない。
そりゃもちろん岸本葵が私の教室に来ないのだ。
「もしかして、
逃げられたのかしら………」
自分で最悪のパターンを口にして、
ますます落ち込んでしまった。
「でもせめて、
断りに来てくれてもいいじゃない………」
やはり、
逃げられるというのは人としてあまり良く感じない。
「(やっぱり一般の人には無理だったのかしら…)」
そもそも、
私みたいな子に執事なんてつくはず無いのかも…
そんなマイナス思考に陥ってしまう。
そんな中、
ガラガラと扉を開ける音が響いた。
「(来た………!!)」
予想通り、
教室の入口にいるのは岸本葵だった。
「(本当に来てくれた………)」
私は嬉しくて、
顏が緩んでしまった。
しかしそれではなんだか悔しい。
だから、
少し怒ってやろう!!
「ちょっと遅いわよ」
彼は焦りながら謝ってきた。
私が本当に待ってるなんて思わなかったみたいだ。