か弱い執事のご主人様


「ここの7階の201号室で入ってる九条なのですが…」


「新入りの子ね。


ちょっと待っててね」


そう言うと、
カウンターの女性はカタカタとパソコンを指で叩く。


「九条………ねぇ君、
九条さんは女の子って書いてあるんだけど」


そうだった、
僕は九条さんの執事って立場だった。


「君は誰かな??


身元が分からないなら、
捕まえちゃうよ」


「えっと………


僕は九条さつきさんの執事でして………」


「執事〜??


君みたいな小さな子が??」


なんだか信じてもらえてないようだ。


それに、
小さな子って………


少し泣けてきた………


「私が九条さつき。


この子はれっきとした私の執事よ」


僕がもたもたしてるせいで九条さんが来てしまった。


「あなたが九条さつきさん??


じゃあちょっと生徒証見せて」


「いいわよ」


九条さんは胸ポケットから生徒証を出すと、
カウンターの女性に差し出した。


「………はい、
照合完了しました。


ようこそ楔山学院生徒寮棟へ」


「これは部屋の鍵、
オートロックだから気を付けてね。


自己紹介が遅れたわね、
私は生徒寮棟のコンシェルジュの國見春風(クニミハルカ)。


今後ともよろしくね」


「よろしくお願いいたしますわ、
國見さん。


それと、
私の葵をあまりいじめないであげて」


「あら、
可愛かったからちょっとやり過ぎただけよ。


君もごめんねっ」


「は、はあ………」


この寮棟のコンシェルジュさんはなかなか強烈的だった。
< 20 / 35 >

この作品をシェア

pagetop