か弱い執事のご主人様
「私の家が大きいからよ。
私と仲良くなれば、
あわよくば会社と良い関係が築けるなんて考える奴が沢山いるのよ。
だから、
そんな事を考えない奴を執事にしたかった。
それであなたを選んだのよ。
奨学金制度で入学したあなたならそんな事を考えないでしょ??」
「確かに僕の家は、
あんまりお金ないですけど………」
「あ、ごめんなさい。
別に貧乏だなんて思ってないわ。
ただ、
私たちの世界とは違う、
良い意味での純粋な人が良かった。
だから………
私の執事になってくれますか??」
彼女の瞳はとても強く、
でもどこか、
年相応の女の子の瞳をしていた。
そんな瞳に魅入られた僕は思わず、
「………はい」
こうして、
僕岸本葵は九条さつきの執事となった。