愛を教えて
「まあまあ、お姉さま。最近の女性は慎みを知りませんもの。若い男性は誘惑されてしまうのですわ」
(慎み、か……夫以外の男の子供を産み、離婚された女の言葉とは思えんな)
「ええ、そうですのよ。若いうちは女性を見る目を養って、三十前にはつり合いのとれたお嬢様と結婚を、と考えておりますの」
(遊びにも限度があるだろうに。何人孕ませれば気が済むんだ!)
「うちの孝司にも、太一郎さんを見習うように言ってますの。遊びも知らない殿方に大きな仕事はできませんわ」
(これ以上、厄介者を増やすのはカンベンしてくれ)
反論は心の中だけに留め、卓巳は大きく息を吸い込んだ。
「それでは、おばあ様……仕事がありますので失礼してよろしいでしょうか?」
「構いません。卓巳さん、お付き合いされている女性がいらっしゃるなら、一度お連れしなさい」
「承知しました。では、その件で……今夜お時間をいただけますか?」
「ええ。でも、あまり遅くならないように」
祖母のほうから卓巳の相手について口にしたことに半ば成功を感じていた。
(慎み、か……夫以外の男の子供を産み、離婚された女の言葉とは思えんな)
「ええ、そうですのよ。若いうちは女性を見る目を養って、三十前にはつり合いのとれたお嬢様と結婚を、と考えておりますの」
(遊びにも限度があるだろうに。何人孕ませれば気が済むんだ!)
「うちの孝司にも、太一郎さんを見習うように言ってますの。遊びも知らない殿方に大きな仕事はできませんわ」
(これ以上、厄介者を増やすのはカンベンしてくれ)
反論は心の中だけに留め、卓巳は大きく息を吸い込んだ。
「それでは、おばあ様……仕事がありますので失礼してよろしいでしょうか?」
「構いません。卓巳さん、お付き合いされている女性がいらっしゃるなら、一度お連れしなさい」
「承知しました。では、その件で……今夜お時間をいただけますか?」
「ええ。でも、あまり遅くならないように」
祖母のほうから卓巳の相手について口にしたことに半ば成功を感じていた。