愛を教えて
万里子は冗談か本気かわからず、絶句している。
『あの……おばあ様は何かおっしゃっておられましたか? お叱りでは……』
「祖母より、問題は叔母たちだな。僕は叔母たちに疎まれている。かなり酷いことを平気で言う人たちだから、君にも遠慮はしないだろう」
卓巳とって敵は祖母の皐月ではなく、叔母ふたりである。
彼女らは条件つきで高徳の遺産を相続しており、古参の重役に祭り上げられ、取締役会の席まで持っていた。
高徳の代に重用されてきた古参の重役たちは、敦か太一郎を将来社長にすべく画策している。彼らは、卓巳では傀儡にできないことを知っているせいだ。
「叔母たちは君にしつこく尋ねると思う。嫌な思いをするかもしれないが……できる限り僕が守るつもりだ。ぜひ、来て欲しい」
『ええ、もちろんです。何を言われても私は平気ですから』
「あのふたりは君の想像以上の……」
――ガタンッ!
ドアの向こうから音が聞こえた。
卓巳は携帯電話を抱えたままドアの前まで行き、一気に開け放った。
『あの……おばあ様は何かおっしゃっておられましたか? お叱りでは……』
「祖母より、問題は叔母たちだな。僕は叔母たちに疎まれている。かなり酷いことを平気で言う人たちだから、君にも遠慮はしないだろう」
卓巳とって敵は祖母の皐月ではなく、叔母ふたりである。
彼女らは条件つきで高徳の遺産を相続しており、古参の重役に祭り上げられ、取締役会の席まで持っていた。
高徳の代に重用されてきた古参の重役たちは、敦か太一郎を将来社長にすべく画策している。彼らは、卓巳では傀儡にできないことを知っているせいだ。
「叔母たちは君にしつこく尋ねると思う。嫌な思いをするかもしれないが……できる限り僕が守るつもりだ。ぜひ、来て欲しい」
『ええ、もちろんです。何を言われても私は平気ですから』
「あのふたりは君の想像以上の……」
――ガタンッ!
ドアの向こうから音が聞こえた。
卓巳は携帯電話を抱えたままドアの前まで行き、一気に開け放った。