愛を教えて
相変わらずのマシンガントークに卓巳は深いため息をつく。
この叔母ふたりの口を閉じさせることは、卓巳には不可能に思えた。
だが、これ以上、万里子にぶしつけなことを言わせる訳にはいかない。
「わざわざご説明いただき恐れ入ります。彼女には話す必要のないことですので、伝えてはおりません」
そんな卓巳の返答に、ふたりはここぞとばかりに息巻いた。
「まあ、おかしなこと。妻になられる方に内緒にしておくだなんて!」
「そうですわよ、卓巳さん。藤原グループの社長夫人になれると思って、あなたの策略に加担されたのでしょう? でなければ……ねぇ」
尚子は思わせぶりなことを言いながら、わざとらしい笑顔を作る。
そんな姉に呼応するように、和子は具体的な言葉を口にした。
「愛情も夫婦生活もない結婚なんて、わたくしなら耐えられませんわ」
「いいこと、万里子さん。卓巳さんは先代の遺産を一円も相続されてはおりませんの。会社の株主でもなく、不動産も卓巳さん名義のものはひとつもありません。皐月様を怒らせたら、卓巳さんはすぐにもここを追い出されてしまうのよ」
この叔母ふたりの口を閉じさせることは、卓巳には不可能に思えた。
だが、これ以上、万里子にぶしつけなことを言わせる訳にはいかない。
「わざわざご説明いただき恐れ入ります。彼女には話す必要のないことですので、伝えてはおりません」
そんな卓巳の返答に、ふたりはここぞとばかりに息巻いた。
「まあ、おかしなこと。妻になられる方に内緒にしておくだなんて!」
「そうですわよ、卓巳さん。藤原グループの社長夫人になれると思って、あなたの策略に加担されたのでしょう? でなければ……ねぇ」
尚子は思わせぶりなことを言いながら、わざとらしい笑顔を作る。
そんな姉に呼応するように、和子は具体的な言葉を口にした。
「愛情も夫婦生活もない結婚なんて、わたくしなら耐えられませんわ」
「いいこと、万里子さん。卓巳さんは先代の遺産を一円も相続されてはおりませんの。会社の株主でもなく、不動産も卓巳さん名義のものはひとつもありません。皐月様を怒らせたら、卓巳さんはすぐにもここを追い出されてしまうのよ」