愛を教えて
思い切って尋ねてみたい。
でも、女性にとっては非常にデリケートな問題だ。もし事実なら、あずさは自分で卓巳に伝えたいだろう。
万里子ならきっとそうだ。


それに、太一郎のことも気にかかる。

卓巳の言うように、太一郎はあれ以上のことをしてくるつもりだろうか。もしそうなら、万里子はどうすればいいのだろう。


万里子の顔を覗き込む卓巳の目に、いくつもの色が混在した。迷い、喜び、悲しみ……様々な色が順に浮かび上がる。

そのたびに、万里子の心も同じ色に塗り替えられていき……。


「あのっ! 卓巳さん、もし……もしも、なんですけど」

「ああ、なんだい?」

「もし、お付き合いされてる女性に……その……子供ができたら、どうなさいますか?」


万里子は思い切って、卓巳に質問を投げかけた。

瞬時に卓巳の表情が固まる。


「――やけに唐突だな。だが、それは僕が決めることではない」

「え? でも、卓巳さんの子供なんですよ。その人と結婚して子供の父親になろうとは思われないんですか?」

「思わない」


短く冷たい返事に、今度は万里子の動きが止まった。


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