愛を教えて
メイドと言われ、万里子はあずさのことを思い浮かべた。
深い関係の女性に、他の女性との情事を知らしめるなんて、あまりにも冷酷な仕打ちだ。
躊躇する万里子に卓巳は、
「参ったな。そんな怯えた目をしないでくれ。何度も言うようだが、僕は突然君に飛びかったりしない。それとも……襲って欲しいのか?」
腰かけていたベッドに横になると、右肘をつき、半身を起こして万里子を見た。
「さあ、来るんだ!」
カノンはしだいに速く大きくなる。
何度も繰り返されるそのメロディに、万里子の鼓動は同調した。
カーテンが閉まったままの寝室はかなり薄暗い。
だが、顔が見えないほどではない。卓巳の襟元から見える鎖骨はとても男性的で、万里子を戸惑いの中に落とした。
恋は彼女から理性を奪う。
さっきまでの憤りや絶望感を、あっさり胸の奥のクローゼットに仕舞い込むくらいに。
諦めたはずの感情が呼び覚まされ、それは真っ直ぐに卓巳へと向い……。
「ここにおいで、万里子」
「……はい」
万里子は言われるまま、ベッドに上がっていた。
深い関係の女性に、他の女性との情事を知らしめるなんて、あまりにも冷酷な仕打ちだ。
躊躇する万里子に卓巳は、
「参ったな。そんな怯えた目をしないでくれ。何度も言うようだが、僕は突然君に飛びかったりしない。それとも……襲って欲しいのか?」
腰かけていたベッドに横になると、右肘をつき、半身を起こして万里子を見た。
「さあ、来るんだ!」
カノンはしだいに速く大きくなる。
何度も繰り返されるそのメロディに、万里子の鼓動は同調した。
カーテンが閉まったままの寝室はかなり薄暗い。
だが、顔が見えないほどではない。卓巳の襟元から見える鎖骨はとても男性的で、万里子を戸惑いの中に落とした。
恋は彼女から理性を奪う。
さっきまでの憤りや絶望感を、あっさり胸の奥のクローゼットに仕舞い込むくらいに。
諦めたはずの感情が呼び覚まされ、それは真っ直ぐに卓巳へと向い……。
「ここにおいで、万里子」
「……はい」
万里子は言われるまま、ベッドに上がっていた。