愛を教えて
「それは……困ります。そうなったら父の会社に対する融資の話はどうなるんですか? 卓巳さんには社長を辞めてもらったら困るんです」


万里子はベッドに座ったまま、悪戯っぽく笑って言葉を続ける。


「だって、私たちは共犯なんですよ。周りのみんなに嘘をついてしまいました。神様を、騙す覚悟もできています。だから卓巳さん、絶対に負けないでください。 太一郎さんにも、叔母様たちにも、あなたが負けてしまったら、私もアウトなんですからね」

「こんな男でも、まだ、信じてくれるのか?」


万里子の笑顔につられたのか、卓巳もこれまでになく柔らかい笑顔になる。

そのとき、フッとあずさの顔が万里子の脳裏をよぎった。
更には、余計なことまで気になり始めてしまう。


「あのっ! 私の信用を失うようなこと、なさってるんですか? 本当は……女性の方を泣かせたり、恨まれたりするようなことを」

「……気になるかい?」

「それは……いえ、あの……叔母様たちは何が言いたかったんでしょうか?」


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