愛を教えて
皐月は、ここまでなりふり構わず、激情を露わにする卓巳を初めて見た。
「いえ……わたくしは……」
そんなことは思っていませんよ、と言ってやりたいのだが、驚き過ぎて言葉が出ない。
しかし、この中でいささか感覚が鈍いのか、或いは空気が読めないのか、和子がとんでもないことを言い出した。
「では、万里子さんに検査を受けてもらいましょうよ。ねぇ、お姉様」
「万里子さんに?」
あっけらかんとした和子の言葉に、さすがの尚子も首を捻る。
「ええ、だって卓巳さんが初めての方だとおっしゃるなら、病院で調べてもらえばよろしいのよ。もし、万里子さんが無垢なお体なら……それは財産目当てに真っ赤な嘘をついておられると言うことでしょう?」
これは完全に万里子を処女だと見越しての発言である。
しかも、おそらくは卓巳もそう思っているはずだ、と。
予想に反して万里子が純潔でなければ、卓巳は彼女に愛想を尽かすのではないか?
卓巳はそんな穿った見方をしてみたが、和子にそこまでの計算ができるかどうかは疑問だ。
「いえ……わたくしは……」
そんなことは思っていませんよ、と言ってやりたいのだが、驚き過ぎて言葉が出ない。
しかし、この中でいささか感覚が鈍いのか、或いは空気が読めないのか、和子がとんでもないことを言い出した。
「では、万里子さんに検査を受けてもらいましょうよ。ねぇ、お姉様」
「万里子さんに?」
あっけらかんとした和子の言葉に、さすがの尚子も首を捻る。
「ええ、だって卓巳さんが初めての方だとおっしゃるなら、病院で調べてもらえばよろしいのよ。もし、万里子さんが無垢なお体なら……それは財産目当てに真っ赤な嘘をついておられると言うことでしょう?」
これは完全に万里子を処女だと見越しての発言である。
しかも、おそらくは卓巳もそう思っているはずだ、と。
予想に反して万里子が純潔でなければ、卓巳は彼女に愛想を尽かすのではないか?
卓巳はそんな穿った見方をしてみたが、和子にそこまでの計算ができるかどうかは疑問だ。