愛を教えて
「ねぇ、万里子さん」
「――はい」
卓巳の様子を窺い、そわそわする万里子に気づいたのだろう。皐月から話しかけてきた。
「聞いておられるでしょうけど、わたくしの心臓はそう長くは持たないのです。おそらく、あと一年も……」
「そんなこと、おっしゃらないでください!」
「そうですよ。おばあ様にはもっと長生きしていただかないと」
車椅子を押す手を止め、卓巳も声をかける。
風が万里子の柔らかい髪をそよがせた。
ガーデンルームは暖かかったが、外に出て風に当たると少し肌寒い。皐月の足からずり落ちそうになるひざ掛けに気づき、万里子は慌てて手を差し伸べた。
皐月は万里子に礼を言い、ゆっくりと話し始める。
「そのことはもう……。それより、あなたがたに聞いていただきたいことがあるのです」
「なんでしょうか?」
聞き返す卓巳の声に、先ほど叔母たちの前で見せた緊張の色はなく、いつもの彼に戻っていた。
「――はい」
卓巳の様子を窺い、そわそわする万里子に気づいたのだろう。皐月から話しかけてきた。
「聞いておられるでしょうけど、わたくしの心臓はそう長くは持たないのです。おそらく、あと一年も……」
「そんなこと、おっしゃらないでください!」
「そうですよ。おばあ様にはもっと長生きしていただかないと」
車椅子を押す手を止め、卓巳も声をかける。
風が万里子の柔らかい髪をそよがせた。
ガーデンルームは暖かかったが、外に出て風に当たると少し肌寒い。皐月の足からずり落ちそうになるひざ掛けに気づき、万里子は慌てて手を差し伸べた。
皐月は万里子に礼を言い、ゆっくりと話し始める。
「そのことはもう……。それより、あなたがたに聞いていただきたいことがあるのです」
「なんでしょうか?」
聞き返す卓巳の声に、先ほど叔母たちの前で見せた緊張の色はなく、いつもの彼に戻っていた。