愛を教えて
実際のところ、ふたりとも言葉にこそしていないが、お互いを伴侶として認め合っていた。
少しずつ縮まる距離が、ふたりの仲をより親密なものに変えていく。
服の上からではあるが、卓巳は万里子の腕や肩、そして腰にまで触れるようになっていた。
性的なものはなくても、ふたりにとっては革新的な進歩だ。
同じものを見て、笑い、共有する時間。
すべてが新鮮で、寒々としていた互いの人生に、春の息吹を感じさせた。
結婚式では、誓いの口づけを交わすことになる。
今夜から、ふたりの共有する時間に、“キス”が加わることは、ほぼ間違いないだろう。
宗にその辺の事情まではわからない。
だが、グレーのフロックコートを着た卓巳は、万里子の耳元に口を寄せ何ごとか囁いている。
同じ仕草を万里子も返し、ふたりは見つめ合い微笑んだ。
誰が見ても新婚そのもの。
「契約書は意味がなかったな」
ひとり呟く宗だった。
少しずつ縮まる距離が、ふたりの仲をより親密なものに変えていく。
服の上からではあるが、卓巳は万里子の腕や肩、そして腰にまで触れるようになっていた。
性的なものはなくても、ふたりにとっては革新的な進歩だ。
同じものを見て、笑い、共有する時間。
すべてが新鮮で、寒々としていた互いの人生に、春の息吹を感じさせた。
結婚式では、誓いの口づけを交わすことになる。
今夜から、ふたりの共有する時間に、“キス”が加わることは、ほぼ間違いないだろう。
宗にその辺の事情まではわからない。
だが、グレーのフロックコートを着た卓巳は、万里子の耳元に口を寄せ何ごとか囁いている。
同じ仕草を万里子も返し、ふたりは見つめ合い微笑んだ。
誰が見ても新婚そのもの。
「契約書は意味がなかったな」
ひとり呟く宗だった。