愛を教えて
「頬か額にと……お約束でしたのに」
「すまなかった。でも、誓いのキスはやっぱり唇だろう?」
「あんなに大勢の前でなんて……そんな」
鐘を鳴らして列席者からの祝福を受けたあと、万里子は卓巳を振り切り、控え室に駆け込んだ。
そんな彼女を慌てて追うが……。
ふたりきりになった途端、万里子は真っ赤になって卓巳に抗議を始める。
卓巳は謝罪を口にしながら、万里子のご機嫌を取ろうと必死だ。
「そんなに嫌だったのか? 僕とキスするのが」
卓巳は少し落ち込んだような声で呟く。
「そんな、そんなことは、ないです。けど」
「けど?」
「初めてのキスだったのに……人前で、なんて」
「は、初めてなんて……そんな訳がないだろう? 第一、君は四年前に」
卓巳は声が上ずった。
万里子の告白に自分でもよくわからないくらい動揺している。
「四年前は……キスは……。だから、初めてなんです。信じてくださらないかもしれませんが」
「信じる」
「すまなかった。でも、誓いのキスはやっぱり唇だろう?」
「あんなに大勢の前でなんて……そんな」
鐘を鳴らして列席者からの祝福を受けたあと、万里子は卓巳を振り切り、控え室に駆け込んだ。
そんな彼女を慌てて追うが……。
ふたりきりになった途端、万里子は真っ赤になって卓巳に抗議を始める。
卓巳は謝罪を口にしながら、万里子のご機嫌を取ろうと必死だ。
「そんなに嫌だったのか? 僕とキスするのが」
卓巳は少し落ち込んだような声で呟く。
「そんな、そんなことは、ないです。けど」
「けど?」
「初めてのキスだったのに……人前で、なんて」
「は、初めてなんて……そんな訳がないだろう? 第一、君は四年前に」
卓巳は声が上ずった。
万里子の告白に自分でもよくわからないくらい動揺している。
「四年前は……キスは……。だから、初めてなんです。信じてくださらないかもしれませんが」
「信じる」