愛を教えて
「え?」
「信じると言ったんだ。……人前でなければ、怒らなかった?」
卓巳は自分の口から流れる声にビックリした。
万里子に媚びるような、信じられないほど優しく甘やかな声だ。
そして、卓巳の視線は万里子の桜色の唇に集中する。
淡いピンクのルージュが塗られたふっくらとした唇。誓いのキスはほんの一瞬だった。固く結んだ唇は緊張のためか少し冷たくて……。
――あの唇をもう一度味わいたい。いや、何度でも。少しでも開かせることができたら。万里子の甘い吐息を、自分の唇で感じることができたなら。
卓巳の手は万里子の頬に触れた。
万里子に近づいたとき、ウエディングドレスの裾がふわっと揺れる。
彼女の母親が着たというドレスはAラインのシンプルなデザイン。しかも、スタンドカラーに長袖というクラシカルなものだった。
二十数年前、結婚式が正式な教会で挙げられたことは容易に想像できる。
「あの……卓巳さん」
「なんだい?」
左手が自然に万里子の腰に添えられ、卓巳は彼女の唇を見つめたままだった。
「信じると言ったんだ。……人前でなければ、怒らなかった?」
卓巳は自分の口から流れる声にビックリした。
万里子に媚びるような、信じられないほど優しく甘やかな声だ。
そして、卓巳の視線は万里子の桜色の唇に集中する。
淡いピンクのルージュが塗られたふっくらとした唇。誓いのキスはほんの一瞬だった。固く結んだ唇は緊張のためか少し冷たくて……。
――あの唇をもう一度味わいたい。いや、何度でも。少しでも開かせることができたら。万里子の甘い吐息を、自分の唇で感じることができたなら。
卓巳の手は万里子の頬に触れた。
万里子に近づいたとき、ウエディングドレスの裾がふわっと揺れる。
彼女の母親が着たというドレスはAラインのシンプルなデザイン。しかも、スタンドカラーに長袖というクラシカルなものだった。
二十数年前、結婚式が正式な教会で挙げられたことは容易に想像できる。
「あの……卓巳さん」
「なんだい?」
左手が自然に万里子の腰に添えられ、卓巳は彼女の唇を見つめたままだった。