愛を教えて
万里子に対する暴言の数々を思い出し、卓巳は背筋が冷たくなった。
「万里子……ひとつ確認しておきたい。君が身体を許したのは、自分の意思だったのか?」
「……それは……」
万里子は否定も肯定もしなかった。
ただ、辛そうに歯を食い縛り、横を向く。
卓巳の耳に『お、ねがい……やめて……たすけて』万里子の苦しげな声が響いた。
(なんてことだ! 知らなかったで済む話じゃない!)
万里子は裂かれたブラウスを必死で合わせ、胸元を隠そうとする。
卓巳はそれに気づき、慌ててスーツの上着を脱いで彼女の肩にかけた。
「いや、いいよ。もういい。無理に言葉にする必要はないんだ。――万里子、よく聞いてくれ。僕はこの先、四年前のことは二度と口にしない。約束する。それと、さっきのような真似もしない。キスも君の許可なく突然したりはしない。君を泣かすような、怯えさせるような真似は決してしない」
「卓巳さん……ごめんなさい」
「君が謝ることじゃない。ゆっくりでいいから、僕との結婚を無期限にするかどうか、検討して欲しい。――俊介くんのことはすまなかった。今度会ったときにはちゃんと謝罪する」
卓巳の手は遠慮がちに万里子の手を握った。
すると、万里子もその手を握り返し……。
「万里子……ひとつ確認しておきたい。君が身体を許したのは、自分の意思だったのか?」
「……それは……」
万里子は否定も肯定もしなかった。
ただ、辛そうに歯を食い縛り、横を向く。
卓巳の耳に『お、ねがい……やめて……たすけて』万里子の苦しげな声が響いた。
(なんてことだ! 知らなかったで済む話じゃない!)
万里子は裂かれたブラウスを必死で合わせ、胸元を隠そうとする。
卓巳はそれに気づき、慌ててスーツの上着を脱いで彼女の肩にかけた。
「いや、いいよ。もういい。無理に言葉にする必要はないんだ。――万里子、よく聞いてくれ。僕はこの先、四年前のことは二度と口にしない。約束する。それと、さっきのような真似もしない。キスも君の許可なく突然したりはしない。君を泣かすような、怯えさせるような真似は決してしない」
「卓巳さん……ごめんなさい」
「君が謝ることじゃない。ゆっくりでいいから、僕との結婚を無期限にするかどうか、検討して欲しい。――俊介くんのことはすまなかった。今度会ったときにはちゃんと謝罪する」
卓巳の手は遠慮がちに万里子の手を握った。
すると、万里子もその手を握り返し……。