愛を教えて

(2)悪魔の素顔

「言っとくけどさ、お前が勝手に俺の部屋に入って来たんだからな。連れ込んだ訳じゃない、忘れんなよ」

「い、いい加減に、してください。茜さんにあんな真似をしておいて……そんな言い訳は通用しないわ」

「通用しないかどうか、やってみたらわかるだろ? さあやろうぜ。卓巳より気持ちよくさせてやるよ」

「近寄らないで! いや、絶対にいや! 私に触れていいのは、卓巳さんだけだわ。他の人なんて絶対にいやっ!」


太一郎は近づきかけて一旦止まり、頭を掻きながら呆れた声で言った。


「あんな奴のドコがそんなにいい訳? 何考えてるかわかんねえ野郎のさ」

「あ、愛してるもの……愛してくれてるもの!」


“愛”という言葉を耳にした直後、太一郎の形相が変わった。


「愛なんざ、クソ食らえだ!!」


ヘラヘラした口調が凶悪なものに取って代わり、万里子に罵声を浴びせかける。


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