愛を教えて
そして、今度は優しく、万里子の望む“妻の証”を、卓巳は至る場所に残していった。


「僕の手で、触れてもいいかい?」


卓巳はとうとうキャミソールの肩紐を掴み、万里子の許可を待つ。

彼女は包帯の巻かれた右手を顔の上に翳し、卓巳の問いかけに小さくうなずいた。


ゆっくりと肩紐をずらし、その膨らみの全体を目にした。


もちろん目にしたことはある。だが、そこから先は未知の世界だ。


卓巳は両方の乳房に、手の平ですくい上げるように、そうっと触れた。
先ほどまでレースに隠されていた部分は、桜の花びらのような淡い色をしていた。

その先端に指で触れた瞬間。


「……ん……っ」


万里子の喉から愛らしい声が漏れる。

それは卓巳にとって、落雷を受けたような衝撃だ。

一気に電流が流れ込み、スイッチが弾け飛ぶ。たった今、指で触れたその場所に、卓巳は唇をつけ、更には口に含んだ。


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