愛を教えて
何もかもが初めてだった。

卓巳は万里子を愛そうと夢中になる。彼は自らの本能にせっせと火をくべ、小さな種火はやがて大きな炎へと燃え盛った。


万里子の漏らしたわずかな官能を思わせる声が、卓巳の理性を地球の反対側へと押しやった。


卓巳はそのまま、万里子の下半身に手を伸ばした。


「あ……あの、ちょっと待って」


小さな抗議を無視して、パジャマのズボンの中に、スルリと手を差し込む。


「待って……卓巳さん。それはちょっと……今はまだ……お願い」


生まれて初めて官能の海に叩き込まれた。

まさに溺れんばかりに必死でもがいている卓巳には、万里子が本気で嫌がっていることに気づけない。


卓巳の手がショーツに届いた瞬間――。


「いやっ! やめて! いや、触らないで……いやぁっ!」


泣きながら怯える万里子の声が聞こえた。


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