愛を教えて
卓巳は押し返された万里子の手に、とんでもない失態を犯したことに気づく。
万里子から飛びのくと、彼はベッドの上に正座して頭を下げた。
「すまないっ! つい……悪かった。もうしない。何もしない。無断で下半身に触れるような真似は決してしない。悪かった。本当にすまない」
「ごめんなさい……私」
「君が謝るんじゃない。悪いのは僕だ。ルールを破ったときは叱らないとダメだ。だから、男は付け上がるんだ。僕も男だから、ついストッパーが外れる。君が嫌なときは、叩いても蹴ってもいい、やめさせてくれ。愛するあまり、罪を犯しそうになる。僕を罪人にしないでくれ、頼む」
度を超した誠実さが卓巳の長所であり、短所でもあった。
人生の不幸を嘆き、親の無責任さを口にして、自分の権利を主張していたなら、卓巳は心の内に病巣を抱えることはなかったはずだ。
だが運命は、そんな卓巳にふさわしい女神を選んでくれた。
万里子は卓巳の真摯な思いを酌み取り、涙を拭って微笑みを返した。
「……わかりました」
その笑顔は卓巳にとって、凍える寒さを忘れさせる暖かい炎だった。
万里子の“お許し”に心の底から安堵する。
万里子から飛びのくと、彼はベッドの上に正座して頭を下げた。
「すまないっ! つい……悪かった。もうしない。何もしない。無断で下半身に触れるような真似は決してしない。悪かった。本当にすまない」
「ごめんなさい……私」
「君が謝るんじゃない。悪いのは僕だ。ルールを破ったときは叱らないとダメだ。だから、男は付け上がるんだ。僕も男だから、ついストッパーが外れる。君が嫌なときは、叩いても蹴ってもいい、やめさせてくれ。愛するあまり、罪を犯しそうになる。僕を罪人にしないでくれ、頼む」
度を超した誠実さが卓巳の長所であり、短所でもあった。
人生の不幸を嘆き、親の無責任さを口にして、自分の権利を主張していたなら、卓巳は心の内に病巣を抱えることはなかったはずだ。
だが運命は、そんな卓巳にふさわしい女神を選んでくれた。
万里子は卓巳の真摯な思いを酌み取り、涙を拭って微笑みを返した。
「……わかりました」
その笑顔は卓巳にとって、凍える寒さを忘れさせる暖かい炎だった。
万里子の“お許し”に心の底から安堵する。