愛を教えて
突然のキスに卓巳は目を見開き、食い入るように万里子を見つめる。

その数秒後、軽く触れる以上のキスを万里子に返していた。


「イエスに聞こえた。それでいいんだね?」

「はい。ずっと、あなたの妻でいさせてください。でも、私の裸は平気ですか?」


女性の胸に吐き気がすると卓巳は言った。でも、さっきの行為がとても我慢していたとは思えない。


「あんなことだけはしないと、心に誓っていたことを……僕はとうとうしてしまったな」


キスをやめ、卓巳は前髪を掻き上げながら恥ずかしそうに言う。その声から自虐の色が消え、キスは卓巳の声を興奮の色に染め上げた。


「君の胸に引き寄せられるように口づけた。顔を埋めたときは、気が狂いそうだったよ。女性の身体を賛美して快楽を得るためにひれ伏すのは、罪に屈服することだと信じてたんだ。でも、違った。あの瞬間は最高だった!」

「た、卓巳さん……あの」


卓巳の声はしだいに大きくなっていく。


「愛する妻の身体に溺れて何が悪いんだ! 君の胸は柔らかくて絹のよう肌触りだった。甘い香りに酔い痴れたよ。君に触れるたび、僕は清められた気がした。今度は僕も上半身裸になって君を抱き締めたい!」

「わ、私も……あの、上だけですけど」

「ああ、今はまだ、情けない下半身を君の前に晒す自信はない。でも万里子、いつか、生まれたままの姿で君と抱き合いたい」

「……はい、いつかきっと……」


万里子の返事は卓巳の唇で遮られた。

数分後、卓巳の指は再び万里子のパジャマのボタンに触れ……新婚夫婦は翌朝の朝食に、大幅に遅れることになったのである。


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