愛を教えて
すると万里子は、フフッと笑った。
「もうっ、卓巳さんたら。そんな顔なさらないで。怒ってませんから、ね」
万里子はそう言うと、卓巳の鼻先にチュッとキスした。
男心とはなんと現金なものだろう、と卓巳は初めて知る。三十秒前の反省が、軽い挨拶のようなキスひとつで見事に吹き飛んだ。
しかも、万里子が身を起こしたせいで、はだけた胸元が目に飛び込んできた。首筋から胸元にかけて到るところに卓巳の刻印が押してある。
「万里子……それはちょっと、朝から刺激的過ぎる」
「え? きゃ! 卓巳さんのエッチ!」
そう言ってパジャマの前を合わせ、タオルケットで胸元を隠す仕草も実に可愛らしい。
(ダメだ……これじゃキリがない)
卓巳は両手で前髪を掻き上げ、後頭部で手を組んだ。
気分を切り替えようと努力してみる。だが、視線は無意識のうちに万里子を追ってしまう。それはまるで、コンパスの針が北を指すような感じだ。
そのとき、卓巳はひとつの事実に気づき、昨夜のことを思い出していた。
十五年間、完全に沈黙してきたはずの相棒に、昨夜はわずかだが快感を得た。硬度は感じなかったが、下着の不快感がそれを証明している。
卓巳の中で何かが変わり始めた。
「もうっ、卓巳さんたら。そんな顔なさらないで。怒ってませんから、ね」
万里子はそう言うと、卓巳の鼻先にチュッとキスした。
男心とはなんと現金なものだろう、と卓巳は初めて知る。三十秒前の反省が、軽い挨拶のようなキスひとつで見事に吹き飛んだ。
しかも、万里子が身を起こしたせいで、はだけた胸元が目に飛び込んできた。首筋から胸元にかけて到るところに卓巳の刻印が押してある。
「万里子……それはちょっと、朝から刺激的過ぎる」
「え? きゃ! 卓巳さんのエッチ!」
そう言ってパジャマの前を合わせ、タオルケットで胸元を隠す仕草も実に可愛らしい。
(ダメだ……これじゃキリがない)
卓巳は両手で前髪を掻き上げ、後頭部で手を組んだ。
気分を切り替えようと努力してみる。だが、視線は無意識のうちに万里子を追ってしまう。それはまるで、コンパスの針が北を指すような感じだ。
そのとき、卓巳はひとつの事実に気づき、昨夜のことを思い出していた。
十五年間、完全に沈黙してきたはずの相棒に、昨夜はわずかだが快感を得た。硬度は感じなかったが、下着の不快感がそれを証明している。
卓巳の中で何かが変わり始めた。