愛を教えて
卓巳は小さな男の子のように、唇を尖らして拗ねて見せる。その可愛らしい仕草に、万里子は微笑んだ。


「私のベッドがなくなってしまったので、どこで寝ようか迷っていたところでした」

「僕たちのベッドだろう? 気に入らなかったかい?」

「広過ぎて、ひとりでは寂しくて寝られません。卓巳さんが……毎晩、隣にいてくださらないと」


万里子は、少し上目遣いに卓巳を見上げて言う。


「ああ、もちろん、毎晩……そのつもりで買い換えたんだ」

「卓巳さんって……」


万里子が言いよどんで下を向くと、卓巳は万里子に近づき、身体を寄せてくる。


「ん? 僕が何?」


卓巳の顔はすっかりプライベートモードだ。

彼の手は、すでに万里子の腰に回っていて、ごく自然な動作で引き寄せた。


「卓巳さんが、こんなにエッチな方だとは思いませんでした」


万里子は本当に小さな声で答える。


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