愛を教えて
リビングを駆け抜け、二枚のドアを通り抜けて寝室に飛び込む。

そこに、純白のベッドカバーがかけられ、天蓋からレースのカーテンが垂れ下がった“スーパーキングサイズ”のベッドが、待ち侘びていた。


「アイボリーのマホガニー材で作られたベッドを探したんだが、国内で見つかったのはブラウンだった。少し男性的なイメージだな。君の好きな色に塗らせてもいいよ」


これでベッドの色が白やピンクになれば、間違いなく“ラブホテル仕様”と言われるだろう。

万里子は雪音から言われたことを卓巳に伝えた。


「ラブホテルには行ったことがないのでわからないが……。“ハネムーンスイート仕様”ってとこかな」


照れた笑顔を見せて、卓巳は万里子を抱いたまま、ベッドに転がり込んだ。


その夜、ふたりはこれまでと違い、パジャマのズボンを脱ぎ捨てた。

お互いに下着一枚の姿で愛し合ったのである。


「万里子、無理はしないで欲しい。怖くなったらいつでも引き返そう。僕は君を愛したいだけなんだから」

「ええ、わかってます。大丈夫よ、卓巳さんに触って欲しいから」


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