愛を教えて
卓巳はベッドの上に正座し、折れそうなほどうなだれて謝罪を口にする。


「すまない。本当に、申し訳ない」

「もう、卓巳さんたら」



今の卓巳はアイスブルーのボクサーブリーフ一枚。
その格好で、ベッドの上にちょこんと正座する姿は、哀愁すら漂っている。


万里子はクスッと微笑むと、


「あなたに言われることなら、私はノーとは言いませんから……ね?」

「本当に? じゃあ、足を開いてって言ったらそうしてくれるかい?」

「……はい……」


一瞬で卓巳の笑顔は復活して、万里子の身体に触れた。


ふたりの行為は限りなくセックスに近かった。

だが、自分の不甲斐なさからひとつになれない、という思いが卓巳に付きまとう。

セックスの快楽に近づけば近づくほど、その焦燥感は高まり――。

それは卓巳がひとりで乗り越えねばならない試練だった。


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