愛を教えて
クリスマスを間近に控えた朝、藤原家の食堂で信じられないことが起こった。


なんと、朝食の席に太一郎が姿を見せたのである。

しかも――丸刈りだ。

太一郎の変化を目にして、食堂にいた全員が言葉を失う。


しかし、太一郎のあとから食堂に姿を見せた静香は、そんな従弟を見るなり吹き出した。


「どっ、どうしたの？　太一郎さん、あなた、卓巳さんに殴られておかしくなったんじゃないの？」

「静香さん、そんなこと」


無遠慮な静香の言葉を、万里子はやめさせようとする。

だが、静香は矛先を万里子に向けて来た。


「ああ、そういうこと。あの太一郎さんを子猫ちゃんにしちゃうなんて、万里子さんたらやるわね。まあ、卓巳さんを骨抜きにするくらいですもの。さすがだわぁ」

「その女は関係ねぇ」


卓巳より早く万里子を庇ったのは太一郎だった。


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