愛を教えて
(4)愛が砕けた夜
「太一郎に話したんだな……なぜだ? 僕には話そうともしなかったくせに!」
部屋に戻るなり、卓巳は万里子に詰め寄った。
卓巳の心を占めるのはそのことだけだ。男としての自信のなさが嫉妬を生み、怒りを増幅させる。
「卓巳さんはご存じじゃないですか。私が話さなくても、なんでも調べてご存じのはずだわ」
万里子の声に含まれていたのは“怒り”だった。
「なんだその言い方は? 僕を裏切って悪かったとは思わないのか?」
言い返された悔しさからか、卓巳の“怒り”も増すばかりだ。
そしてそれは、万里子にとっても同じであった。
「私は裏切ってなんかいません。裏切ったのは卓巳さんだわ!」
「僕がいつ、君を裏切った!」
「たった今です! 必ず守る、助けるっておっしゃったのに。あんなに酷いことを言われていたのに、卓巳さんはひと言も庇ってはくださらなかった」
万里子が怒りに任せて怒鳴り返すなど、滅多にあることではない。
卓巳は驚き、躊躇して、つい迂闊な言葉を口にしてしまう。
部屋に戻るなり、卓巳は万里子に詰め寄った。
卓巳の心を占めるのはそのことだけだ。男としての自信のなさが嫉妬を生み、怒りを増幅させる。
「卓巳さんはご存じじゃないですか。私が話さなくても、なんでも調べてご存じのはずだわ」
万里子の声に含まれていたのは“怒り”だった。
「なんだその言い方は? 僕を裏切って悪かったとは思わないのか?」
言い返された悔しさからか、卓巳の“怒り”も増すばかりだ。
そしてそれは、万里子にとっても同じであった。
「私は裏切ってなんかいません。裏切ったのは卓巳さんだわ!」
「僕がいつ、君を裏切った!」
「たった今です! 必ず守る、助けるっておっしゃったのに。あんなに酷いことを言われていたのに、卓巳さんはひと言も庇ってはくださらなかった」
万里子が怒りに任せて怒鳴り返すなど、滅多にあることではない。
卓巳は驚き、躊躇して、つい迂闊な言葉を口にしてしまう。