愛を教えて
自分がそうだから、万里子にふさわしいのは自分だと情けない論法をはじき出した。
愚かにもほどがある。
卓巳は頭を抱え込み、額をベンチに押し付けた。鉄製のそれは硬く、氷のように冷たい。表面は錆びてザラザラしていた。
太一郎などどうでもいい、卓巳が一番だと言って欲しかっただけだった。男として役に立たない、無様なことは百も承知している。それでも万里子に選んで欲しかった。
留置場の窓から月明かりが射し込んだ。
愛しさが募り、彼女を初めて抱き締めた、ホテルで過ごした一夜のように。
祖母の反対を知りながら、それでも妻にと望んだ、あの夜のように。
卓巳は大声で警官を呼び、謝罪と反省を申し入れた。
そして、弁護士として宗を呼んだのである。
愚かにもほどがある。
卓巳は頭を抱え込み、額をベンチに押し付けた。鉄製のそれは硬く、氷のように冷たい。表面は錆びてザラザラしていた。
太一郎などどうでもいい、卓巳が一番だと言って欲しかっただけだった。男として役に立たない、無様なことは百も承知している。それでも万里子に選んで欲しかった。
留置場の窓から月明かりが射し込んだ。
愛しさが募り、彼女を初めて抱き締めた、ホテルで過ごした一夜のように。
祖母の反対を知りながら、それでも妻にと望んだ、あの夜のように。
卓巳は大声で警官を呼び、謝罪と反省を申し入れた。
そして、弁護士として宗を呼んだのである。