愛を教えて
卓巳はまるで糸の切れたマリオネットのように、宗の呼びかけにも全く反応を示さない。
「雪音……さん。万里子様は?」
宗は自分の隣に立つメイドの雪音に問いかけた。
だが、その雪音の様子も普段とどこか違う。全身から怒りのオーラが見え、宗は無条件で謝りそうになった。
このとき、宗は卓巳から怪文書の件は“すべて終わった”と聞かされていた。
だが、とても“終わった”ようには見えない。
留置場の卓巳に問い質すこともできず、今日の仕事に入ってからでいい、と思っていた。
「奥様は荷物を持って家を出られました。旦那様が追い出されたようなものですが」
「なんでそんな真似を!? 社長、どうしてそんなことをしたんですかっ」
雪音の返答に宗は慌てふためく。
血相を変えて卓巳に尋ねるが、彼は表情も変えず座り込んだままだ。
明日、日本を発ってロンドンに向かわなければ、三日後には行われるレセプションパーティをキャンセルしなくてはならない。
それが何を意味するか……考えるだけで宗は眩暈を覚える。
「雪音……さん。万里子様は?」
宗は自分の隣に立つメイドの雪音に問いかけた。
だが、その雪音の様子も普段とどこか違う。全身から怒りのオーラが見え、宗は無条件で謝りそうになった。
このとき、宗は卓巳から怪文書の件は“すべて終わった”と聞かされていた。
だが、とても“終わった”ようには見えない。
留置場の卓巳に問い質すこともできず、今日の仕事に入ってからでいい、と思っていた。
「奥様は荷物を持って家を出られました。旦那様が追い出されたようなものですが」
「なんでそんな真似を!? 社長、どうしてそんなことをしたんですかっ」
雪音の返答に宗は慌てふためく。
血相を変えて卓巳に尋ねるが、彼は表情も変えず座り込んだままだ。
明日、日本を発ってロンドンに向かわなければ、三日後には行われるレセプションパーティをキャンセルしなくてはならない。
それが何を意味するか……考えるだけで宗は眩暈を覚える。