愛を教えて
(8)贖罪
宗が、彼なりに必死で万里子を連れ戻そうとしていた同じ時間。
藤原邸は大揺れだった。
鋼鉄の心臓を持つ浮島まで、卓巳の変わりように動揺を露わにする。そのせいか、使用人全体の士気が下がってしまった。
若いメイドを統率するはずの、メイド頭の千代子もそれどころではない。
卓巳の状態に、皐月が軽い心臓発作を起こしてしまったのだ。
安西医師と共に、千代子もずっと皐月に付き添っていた。
幸い大したことはなく、皐月の意識もすぐに戻ったのだが。
卓巳に皐月の発作を告げても、彼は頭を抱え込むだけだった。
メイドたちは口々に、
「ええーっ! どうなっちゃうのぉ?」
「藤原グループもおしまいね。次の仕事口見つけたほうがいいかな?」
「でもでもっ。ビックリしたぁ。あの万里子様がぁ……」
「やめなさい、かんな」
「でもぉ。新入りのコックさんとかぁ、万里子様を見る目が変わってたよぉ」
「全部あの太一郎のせいよ! 母親使って、相変わらず姑息な奴」
「俺がなんだよ」
藤原邸は大揺れだった。
鋼鉄の心臓を持つ浮島まで、卓巳の変わりように動揺を露わにする。そのせいか、使用人全体の士気が下がってしまった。
若いメイドを統率するはずの、メイド頭の千代子もそれどころではない。
卓巳の状態に、皐月が軽い心臓発作を起こしてしまったのだ。
安西医師と共に、千代子もずっと皐月に付き添っていた。
幸い大したことはなく、皐月の意識もすぐに戻ったのだが。
卓巳に皐月の発作を告げても、彼は頭を抱え込むだけだった。
メイドたちは口々に、
「ええーっ! どうなっちゃうのぉ?」
「藤原グループもおしまいね。次の仕事口見つけたほうがいいかな?」
「でもでもっ。ビックリしたぁ。あの万里子様がぁ……」
「やめなさい、かんな」
「でもぉ。新入りのコックさんとかぁ、万里子様を見る目が変わってたよぉ」
「全部あの太一郎のせいよ! 母親使って、相変わらず姑息な奴」
「俺がなんだよ」