愛を教えて
二回目のデートは、首都高を走ったときに万里子が口にしたテーマパークだった。

東京の冠号を持ちながら東京都内にはない、巨大テーマパークである。



『よく行くのか?』


首都高速を走る車中、嬉しそうに話す万里子に卓巳は尋ねた。


『いえ、そんなには。中学と高校のころに数回行きました。デートといったら、いつかテーマパークに、なんて思っていたこともあって……。藤原さんは行かれたことがありますか?』

『いや……』


このテーマパークには藤原グループの系列企業も出資しているはずだ。書類では名前を目にするが、行ったことは一度もない。


『次はそこに行ってみるか?』

『え? あ、はい!』


何気なく言った一言に、万里子は驚きながらもすぐに満面の笑みを返した。



(万里子に媚びた訳じゃないぞ。計画を円満に進めるため……それだけだ)


その日は平日で、朝から小雨が降っていた。テーマパーク内には、色とりどりの傘の花が咲いている。

パステルカラーの傘を手にする万里子の表情に気を取られながら……。

卓巳はここを選んだ自分の言動に、慌てて理由を付ける。


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