愛を教えて
(5)愛の闇、愛の光
卓巳は万里子のことを怒っている。最後の夜を一緒に過ごすこともできず、日本に帰らなければならない。
そう思っていたのに。
「どう、して……だ。僕は君を裏切ったんだぞ。なぜ、優しくするんだ? ざまあみろ、自業自得だと笑えばいい」
万里子への愛を告げる声は消えそうなほど儚く、彼女の耳には届いてはいなかった。
それでも、打ちのめされた卓巳の姿は、万里子に衝撃を与えた。とてもこのまま、見過ごすことなどできそうにないくらいに。
「もう、やめて。お願い、もう、無理はなさらないで」
「……どういう意味だ?」
「私の気持ちをご存じなのでしょう? 日本に帰ってまで、しつこくあなたを追い回したりはしません。ちゃんと、離婚にも同意します。だから……」
「違う! そんなんじゃない。女が欲しくて引っ張り込んだ。それがこの様だ。何もできないのに、あの女の裸を見ても、下半身はピクリとも反応しない。なのに欲しいんだ、女が抱きたい。こんな人並みでない身体で……お笑いだ」
卓巳は冷たい床に座り込み、乾いた声で笑う。
そう思っていたのに。
「どう、して……だ。僕は君を裏切ったんだぞ。なぜ、優しくするんだ? ざまあみろ、自業自得だと笑えばいい」
万里子への愛を告げる声は消えそうなほど儚く、彼女の耳には届いてはいなかった。
それでも、打ちのめされた卓巳の姿は、万里子に衝撃を与えた。とてもこのまま、見過ごすことなどできそうにないくらいに。
「もう、やめて。お願い、もう、無理はなさらないで」
「……どういう意味だ?」
「私の気持ちをご存じなのでしょう? 日本に帰ってまで、しつこくあなたを追い回したりはしません。ちゃんと、離婚にも同意します。だから……」
「違う! そんなんじゃない。女が欲しくて引っ張り込んだ。それがこの様だ。何もできないのに、あの女の裸を見ても、下半身はピクリとも反応しない。なのに欲しいんだ、女が抱きたい。こんな人並みでない身体で……お笑いだ」
卓巳は冷たい床に座り込み、乾いた声で笑う。