愛を教えて
卓巳はこの数日間の苦悩と欲望を解き放ち、思うさま万里子の身体を愛し続けた。

万里子も同じである。最愛の卓巳の腕の中以外に、寛げる場所などない。

お互いに、全裸で愛し合ったのは初めての経験だった。


「この間のような真似は絶対にしない。優しくするから、触れてもいいかな?」

「ええ……でも、軽蔑しないで」

「何を軽蔑するんだい?」


卓巳は万里子の許しを得て、初めて彼女の大事な場所に触れた。

ほんの数日前、強引に指を押し込んだ場所だ。だが、そのときとはまるで様子が違っている。そこはまさに蕩けそうなほど熱く。卓巳は蜂蜜の壷を探し当てた気分だった。



万里子と抱き合うようになり、せめて知識だけでも、と卓巳は様々なマニュアル本を読み漁った。

その結果、女性の直接的な愛撫により、男性自身が反応する可能性があることを知る。

万里子にそれを望めるだろうか、と考え、すぐに却下する。卓巳には指導も助言もできない。命令などもってのほかだ。

そして浅はかな考えに辿り着く。

それは世の多くの男たちがやっていること。浮気、女遊び、一夜の情事……呼び方はなんでもいい。

ジューディスはパトロンを捕まえてはステップアップしていくタイプの女性だ。充分なものを与えたら適切に指導してもらえるかもしれない、と。


浮気なら万里子のいないところでやれ、と宗がいたなら言っただろう。


だが卓巳にも「本当にはできないくせに」と言った万里子に対する意地があった。

結果がこれでは、お粗末な話だが。


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