愛を教えて
「いいわよ、そんなの。聞いてもどうせ覚えられないし。ね、学校はドコ? 学習院? 聖心?」

「え? あ、いえ……聖マリアですが。それが何か?」


なぜいきなり学校名なのだろう?

万里子の疑問に静香はとんでもない答えをくれた。


「ああ、そんな感じね。ずっと聖マリアでしょ。好きなのよねぇアイツ。あなたみたいな生粋のお嬢様が。やめろって言っても、面倒そうなタイプばっかり毒牙にかけるのよ。バージンキラーなんて自慢してるくらい。あ、ひょっとしてもう、ヤラレちゃった?」


万里子は眩暈を感じた。


(ど、毒牙? バージンキラー? そんな馬鹿な)


どちらも卓巳のイメージからほど遠い。


「メイドもあらかたお手つきよ。ここもしょっちゅう利用してて、私が見かけるたびに相手が変わってるわ。まだだったら、悪いことは言わないわ、アイツは野獣だから、早めに」


「静香様、どうしてここにいらっしゃるんです!?」


静香の台詞を奪ったのは、宗だった。


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