愛を教えて
冷たい……真冬とはいえ空調の整った室内とは思えない冷たさに、彼は驚いた。

だが、少しずつ万里子の官能を呼び覚ましてやればいい。そう考え、彼はキスを続行する。

しかし、どれほどのキスも彼自身の情熱を高めるだけ。固く閉じた蕾が、綻ぶ兆しすら見せない。

やがて、ギリギリ、と音が聞こえた。

それはライカーが期待した甘い吐息と違う、奥歯の擦れる音。ライカーは弾けるように万里子から飛び退いた。



『夫の心に添うことは私の希望であり喜びです』


ライカーは万里子がストラウド邸で語ったその言葉に、強く惹かれた。

そう言った彼女の微笑は、まさに女神……いや聖母マリアの如く慈愛に満ち溢れていた。


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