愛を教えて
ふいに、万里子の頭の中でライカーの声が響いた。
『君はすべてが美しい』
そして、肌をなぞる指の感触を思い出し……万里子は身震いする。
転げるようにベッドから下り、服を探すが見当たらない。そして目についたバスルームの文字。万里子はその中に飛び込んだ。
ライカーを受け入れた記憶はない。身体にその証もなかった。だが、万里子はその行為において避妊具を使った経験がない。もし使うことで、痛みもなく、痕跡も残らないのであれば……。
(私は……卓巳さんを裏切ってしまったの?)
取り返しのつかないことをしてしまった。
万里子は急いでシャワーのコックを捻る。大理石のバスルームは、デザインが日本のバスタブに近い。だが、のんびりお湯を張る余裕はなかった。一刻も早く、すべてを洗い流さなければ。逼迫した思いが万里子の中を駆け巡る。
隅に置かれたボディソープが空になるまで、一心不乱に洗った。ソープがなくなると、今度はボディスポンジに力を入れる。しっとりと繊細な皮膚がやがて真っ赤になり、裂けて血が滲み出ても擦ることをやめない。
万里子は何かにとり憑かれたように、身体を洗い続けた。
『君はすべてが美しい』
そして、肌をなぞる指の感触を思い出し……万里子は身震いする。
転げるようにベッドから下り、服を探すが見当たらない。そして目についたバスルームの文字。万里子はその中に飛び込んだ。
ライカーを受け入れた記憶はない。身体にその証もなかった。だが、万里子はその行為において避妊具を使った経験がない。もし使うことで、痛みもなく、痕跡も残らないのであれば……。
(私は……卓巳さんを裏切ってしまったの?)
取り返しのつかないことをしてしまった。
万里子は急いでシャワーのコックを捻る。大理石のバスルームは、デザインが日本のバスタブに近い。だが、のんびりお湯を張る余裕はなかった。一刻も早く、すべてを洗い流さなければ。逼迫した思いが万里子の中を駆け巡る。
隅に置かれたボディソープが空になるまで、一心不乱に洗った。ソープがなくなると、今度はボディスポンジに力を入れる。しっとりと繊細な皮膚がやがて真っ赤になり、裂けて血が滲み出ても擦ることをやめない。
万里子は何かにとり憑かれたように、身体を洗い続けた。