愛を教えて
卓巳は万里子の手を握り、自分の額に押し当てた。“そのとき”の彼女の絶望と屈辱を思うと、涙が止まらない。
(なぜ、人に任せた! 自分で空港まで送りさえすれば。あんな奴を信用したばかりに……)
一刻も早く謝りたい。「すべて僕のせいだ、悪かった、許して欲しい」と万里子に伝えたかった。
だが、『永久に心を閉ざしてしまう可能性も……』そんなドクターの言葉が頭の中で回り続けている。そのときは、二度と許してはもらえない。
――今度は僕が、君に奇跡を起こしてみせる。僕を信じてくれ。
そう言って万里子にキスしたときの、はにかんだような笑顔が忘れられない。
卓巳だけを見つめ、卓巳の愚かさを許してくれた。持てる愛情すべてを注ぎ込んでくれた女性を、守ることができなかった。
「万里子、君の心が戻らなくても……僕は君のそばから離れない。ずっと妻でいてくれ。命よりも大事な君のことを、なぜ守れなかったんだろう。こんなになるまで……痛かっただろう、辛かっただろう。僕を呼んだかい? どうして……一分一秒でも早く、助けてやれなかったんだろう。どうして!?」
ライカーやジェームズに対する憎しみより、無力な自分への口惜しさで卓巳は自分が許せなかった。
(なぜ、人に任せた! 自分で空港まで送りさえすれば。あんな奴を信用したばかりに……)
一刻も早く謝りたい。「すべて僕のせいだ、悪かった、許して欲しい」と万里子に伝えたかった。
だが、『永久に心を閉ざしてしまう可能性も……』そんなドクターの言葉が頭の中で回り続けている。そのときは、二度と許してはもらえない。
――今度は僕が、君に奇跡を起こしてみせる。僕を信じてくれ。
そう言って万里子にキスしたときの、はにかんだような笑顔が忘れられない。
卓巳だけを見つめ、卓巳の愚かさを許してくれた。持てる愛情すべてを注ぎ込んでくれた女性を、守ることができなかった。
「万里子、君の心が戻らなくても……僕は君のそばから離れない。ずっと妻でいてくれ。命よりも大事な君のことを、なぜ守れなかったんだろう。こんなになるまで……痛かっただろう、辛かっただろう。僕を呼んだかい? どうして……一分一秒でも早く、助けてやれなかったんだろう。どうして!?」
ライカーやジェームズに対する憎しみより、無力な自分への口惜しさで卓巳は自分が許せなかった。