愛を教えて
「それは……」
「ないって言えよっ!」
答えない宗を睨みつけ、太一郎はガンと机を殴った。
「畜生! こっちは七五三以来のスーツを着て来たってのに」
「いや、馬子にも衣装ですよ」
「雪音と同じこと言ってんじゃねぇ!」
今日の太一郎は濃紺のオーダーメードのスーツを着ていた。無精ひげも綺麗に剃り、このまま就職の面接にでも行けそうな格好だ。丸刈り頭も、太一郎の体格なら体育会系だと思ってもらえるだろう。
だが、これから彼が向かうのは面接ではない。
藤原グループの臨時取締役会だった。
「ないって言えよっ!」
答えない宗を睨みつけ、太一郎はガンと机を殴った。
「畜生! こっちは七五三以来のスーツを着て来たってのに」
「いや、馬子にも衣装ですよ」
「雪音と同じこと言ってんじゃねぇ!」
今日の太一郎は濃紺のオーダーメードのスーツを着ていた。無精ひげも綺麗に剃り、このまま就職の面接にでも行けそうな格好だ。丸刈り頭も、太一郎の体格なら体育会系だと思ってもらえるだろう。
だが、これから彼が向かうのは面接ではない。
藤原グループの臨時取締役会だった。