愛を教えて
力一杯抱きつかれ、卓巳は呆然としている。
「え? あ、あの……怒ってないのかい?」
「怒ってないわ。ただ……」
万里子は少し身体を離し、卓巳を見上げて言った。
「あなたの言うとおりにして当然、のように扱われるのは嫌なの。だってそれじゃ、サーと同じですもの。ねえ、卓巳さん。私は、こうして本当の夫婦になれて、とっても幸せ。だけど、これ以上はできない、と言って、抱き締めて眠ってくれたときも、同じくらい幸せだった。お願い卓巳さん、私を置いてきぼりにしないで。一緒に歩いて行きたいから」
万里子の言葉に卓巳もようやく気づいたのだ。
周囲に追いつきたい、ジェイクに負けたくない、とひとりよがりな対抗意識を燃やしていたことに。
夫婦として二人三脚で進むはずが……。座り込んだ万里子の手を引き摺り、全力で走ろうとしていた。
「すまない。本当に……僕は何度、君に謝ったらいいんだろう」
「私に言うことはそれだけ?」
「それじゃあ、ソファに座って、身体を離してから話そう。このまま口にすると、今度は君に引っ叩かれそうだ」
必死で自分を抑えようとする卓巳とは逆に、万里子は誘うように卓巳の胸を指で撫で、上目遣いで微笑んだ。
「え? あ、あの……怒ってないのかい?」
「怒ってないわ。ただ……」
万里子は少し身体を離し、卓巳を見上げて言った。
「あなたの言うとおりにして当然、のように扱われるのは嫌なの。だってそれじゃ、サーと同じですもの。ねえ、卓巳さん。私は、こうして本当の夫婦になれて、とっても幸せ。だけど、これ以上はできない、と言って、抱き締めて眠ってくれたときも、同じくらい幸せだった。お願い卓巳さん、私を置いてきぼりにしないで。一緒に歩いて行きたいから」
万里子の言葉に卓巳もようやく気づいたのだ。
周囲に追いつきたい、ジェイクに負けたくない、とひとりよがりな対抗意識を燃やしていたことに。
夫婦として二人三脚で進むはずが……。座り込んだ万里子の手を引き摺り、全力で走ろうとしていた。
「すまない。本当に……僕は何度、君に謝ったらいいんだろう」
「私に言うことはそれだけ?」
「それじゃあ、ソファに座って、身体を離してから話そう。このまま口にすると、今度は君に引っ叩かれそうだ」
必死で自分を抑えようとする卓巳とは逆に、万里子は誘うように卓巳の胸を指で撫で、上目遣いで微笑んだ。