愛を教えて
ゲーム機のコーナーを奥に進み、お化け屋敷に入りそうになる万里子を、卓巳はさり気なく止める。
入場料金が書かれた立て看板の隅に、『入場をお断りいたします』の注意書きが。その中に『妊娠中の方』という項目があった。
どこか恥ずかしそうな顔で万里子は微笑み、違うコーナーに向かう。スポーツゲームのコーナーでは、万里子にせがまれ卓巳が挑戦するが……。
野球、サッカー、テニス、バスケットと、球技が全滅であることを証明しただけだった。
「言っておくが、僕はスポーツが苦手な訳じゃないぞ! 球技が苦手なだけだ」
「でも、男の子だったらキャッチボールはしなくていいの? それとも最近はサッカーかしら?」
「いいんだよ、娘なんだから。ピアノとかバレエとか」
「卓巳さん、クラシックも苦手なんじゃ」
思えば、卓巳には親に何かをしてもらった記憶がほとんどない。
黙り込んだ卓巳に万里子が慌てた様子で声をかけた。
「えっと、卓巳さんの息子だったらきっと頭がよくて勉強が大好きよ! 宿題は見てあげてね」
「ああ、もちろんだ! 娘には僕が勉強を教えよう」
「もうっ! 頑固なんだから」
「お互い様だ」
万里子はクスクス笑いながら卓巳の腕に抱きついた。
入場料金が書かれた立て看板の隅に、『入場をお断りいたします』の注意書きが。その中に『妊娠中の方』という項目があった。
どこか恥ずかしそうな顔で万里子は微笑み、違うコーナーに向かう。スポーツゲームのコーナーでは、万里子にせがまれ卓巳が挑戦するが……。
野球、サッカー、テニス、バスケットと、球技が全滅であることを証明しただけだった。
「言っておくが、僕はスポーツが苦手な訳じゃないぞ! 球技が苦手なだけだ」
「でも、男の子だったらキャッチボールはしなくていいの? それとも最近はサッカーかしら?」
「いいんだよ、娘なんだから。ピアノとかバレエとか」
「卓巳さん、クラシックも苦手なんじゃ」
思えば、卓巳には親に何かをしてもらった記憶がほとんどない。
黙り込んだ卓巳に万里子が慌てた様子で声をかけた。
「えっと、卓巳さんの息子だったらきっと頭がよくて勉強が大好きよ! 宿題は見てあげてね」
「ああ、もちろんだ! 娘には僕が勉強を教えよう」
「もうっ! 頑固なんだから」
「お互い様だ」
万里子はクスクス笑いながら卓巳の腕に抱きついた。