夢宵奇譚~飛んでハッスル~
 この2人はきっと人気あるんだろうな。

「学校の先生だよ」

「! 弟が何か……」

 心配そうな瞳が信士に向けられてドキリとする。

「違うよ、高校の先生。ちょっと知り合って勉強教えてもらおうと思ったの」

「高校の?」

 怪訝な面持ちで信士に視線を向けた。

「雪柳高校の科学を担当している、早乙女 信士(さおとめ しんじ)と言います」

 慌てて立ち上がり丁寧に会釈した信士に、姉もつられるように頭を下げる。

「あ、わたしは姉の早麻理(さおり)です」

 肩胛骨まで伸ばされた艶のある黒髪がさらりと流れ、ふわりとシャンプーの香りが漂った。
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