ガルドラ龍神伝―闇龍編―
「俺にはわかるのだ。


あのダークブルーの鬣の龍少女こそが、デュラックの生まれ変わり。


だからこそ、再び十人の龍戦士が目覚めないように、あの少女を抹殺しておかなければ。


今度こそ、ガルドラは俺のものになるのだ」


キアはとても領主とは思えないような、恐ろしい発言をした。


彼を包む闇のオーラは、リタ達が領国を脱出する以前よりも黒く、殺気に満ちている。


リバドブルムは反抗したいという気持ちを押し殺し、ただキアに従うしかなかった。


彼は前以て領主から与えられていた指示を思い出し、言った。


「キア様、ギルネスの街にある≪岩龍女神シトラル≫の神殿は、私にお任せ下さい。


必ず、あの女砂龍を抹殺してみせましょう。


そうすれば後継者もいなくなり、王家の血が絶えます。


そうなれば、この魔界はあなた様のものです」


二人は悪意や殺気、そして憎悪に満ちた会話をしている。


それを見ていたメアリーは、悲しげな顔をして、キアにおかれている状況を予想している。


(お父様……。


一体、どうしてしまったのですか?


私が子供の頃までは、普通に魔道族の民を見守ったり支えたりして、生活してたはず。


それなのに――それなのに私とリゲリオンの十一歳の誕生日に、態度が急変してしまった。


まるで、何者かに操られてるような……)


メアリーの中では、冷酷な領主に対する、僅かな抵抗や複雑な思いとが交叉するのだった。


その時、彼女は赤い髪をした男性の魔道師に、呼び止められた。


「メアリー姫、キア領主のことだが……」


男性は言葉を詰まらせながら、メアリーに重要だと思うことを話し始める。――
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