ガルドラ龍神伝―闇龍編―
2
氷の属性というだけあって、床も壁も天井も全て、氷でできている。
その氷点下にも近い気温の中、リタとナンシーは地図を頼りに冒険している。
「寒い。身も心も、凍りつきそうだ」
「情けないことを言わないで。
旅立ちの前夜に、あの城で魔道族と戦うために修行をすると言ったのは、リタ、あなたでしょう?」
「それは……そうだけどさ……」
リタにしては珍しく、暗い表情をしている。
ナンシーは、今自分にできることを真剣に考えていた。
(どうしよう……。
リタは完全に、迷ってしまってる。
こんな彼女は、初めて見たわ。
なんて言ったら良いのよ)
ふと、ナンシーはあることに気づいたのか、試しにリタに訪ねる。
「リタ。あなたはもしかして、ヨゼフがいないから、そうやって落ち込んでるんでしょう?」
「え? なんでそう言えるの?」
「だって、普通に考えてみなさいよ。
いつものあなたなら、『寒さが何さ。こんな所で立ち止まってる暇なんてない』って言うわ。
それなのに、今はヨゼフがいない状態で、どうすれば良いかわからない。
そうじゃない?」
ナンシーはリタに、考えに考えた末の意見を言った。
(確かにナンシーの言う通りだ。
ヨゼフは度重なる疲労のせいで、風邪を引いて寝込んでる。
今、私達がやるべきこと。――一つ目は、ヨゼフの分まで頑張ること。
二つ目は、ルース大公の息子、アイル公子を捜し、そのうえで氷龍戦士の情報を聞き出すことだ。
私は大切な何かを忘れてた)
リタは目的を思い出し、先程の暗かった表情が嘘のように消え、いつもの明るい表情に戻っている。
その様子を見てナンシーは、安堵の胸を撫で下ろす。
二人は神殿の中央部にあたる部屋に出た。
その部屋の天井には、神殿内の動力部と思わしきクリスタルが吊り下がっている。
床の方は一見すると、足場が消えていて、到底渡れるはずがないと思われる。
が、実際は天井のクリスタルが放つ光が足場を照らし出している。
その光はまるで、リタとナンシーを神殿の奥まで導いてくれているかのようだ。
「どうする? ちょっと渡りづらいけど」
「決まってるじゃないか。
マイペースで進んでいくのさ。
もしかしたら、アイル公子もあの扉の奥の部屋にいるかもしれないし」
「そうね。少しでも可能性が残ってるなら、それを信じて進まなきゃ」
氷の属性というだけあって、床も壁も天井も全て、氷でできている。
その氷点下にも近い気温の中、リタとナンシーは地図を頼りに冒険している。
「寒い。身も心も、凍りつきそうだ」
「情けないことを言わないで。
旅立ちの前夜に、あの城で魔道族と戦うために修行をすると言ったのは、リタ、あなたでしょう?」
「それは……そうだけどさ……」
リタにしては珍しく、暗い表情をしている。
ナンシーは、今自分にできることを真剣に考えていた。
(どうしよう……。
リタは完全に、迷ってしまってる。
こんな彼女は、初めて見たわ。
なんて言ったら良いのよ)
ふと、ナンシーはあることに気づいたのか、試しにリタに訪ねる。
「リタ。あなたはもしかして、ヨゼフがいないから、そうやって落ち込んでるんでしょう?」
「え? なんでそう言えるの?」
「だって、普通に考えてみなさいよ。
いつものあなたなら、『寒さが何さ。こんな所で立ち止まってる暇なんてない』って言うわ。
それなのに、今はヨゼフがいない状態で、どうすれば良いかわからない。
そうじゃない?」
ナンシーはリタに、考えに考えた末の意見を言った。
(確かにナンシーの言う通りだ。
ヨゼフは度重なる疲労のせいで、風邪を引いて寝込んでる。
今、私達がやるべきこと。――一つ目は、ヨゼフの分まで頑張ること。
二つ目は、ルース大公の息子、アイル公子を捜し、そのうえで氷龍戦士の情報を聞き出すことだ。
私は大切な何かを忘れてた)
リタは目的を思い出し、先程の暗かった表情が嘘のように消え、いつもの明るい表情に戻っている。
その様子を見てナンシーは、安堵の胸を撫で下ろす。
二人は神殿の中央部にあたる部屋に出た。
その部屋の天井には、神殿内の動力部と思わしきクリスタルが吊り下がっている。
床の方は一見すると、足場が消えていて、到底渡れるはずがないと思われる。
が、実際は天井のクリスタルが放つ光が足場を照らし出している。
その光はまるで、リタとナンシーを神殿の奥まで導いてくれているかのようだ。
「どうする? ちょっと渡りづらいけど」
「決まってるじゃないか。
マイペースで進んでいくのさ。
もしかしたら、アイル公子もあの扉の奥の部屋にいるかもしれないし」
「そうね。少しでも可能性が残ってるなら、それを信じて進まなきゃ」